ロードバイク

ロードバイクにまつわる宗教について

ご存じだろうか.ロードバイクには一般人にはとても理解のできない宗教が存在している.初心者ローディは決して理解できないと思う.しかし,2〜3年ほどロードバイクを乗っていると,彼らからの入信のお誘いがくるかもしれない.そんなときのために,どんな宗教があるのか,どんな特徴なのかを簡単に紹介しておく.

エアロ教

彼らは一切の妥協を許さずに空気抵抗を減らそうとする.バイクは当然エアロロード.TTバイクに乗る人もいる.主な機材はエアロフレーム、ディープリム、エアロホイール、エアロハンドルなどなど.リムブレーキはダイレクトマウント以外もってのほか.不要な機材はとことん取り払うが,取り払う目的は空気抵抗低減であって軽量化ではない.
無駄なものは一切つけない。機材の空気抵抗をどれだけ0に近づけたがが、神に近づく事と同義である

彼らの外見は特徴的であり,見た目で判断が可能である.メリダのREACTOやスペシャライズドのS-WORKS VENGEを見かけたら,まず間違いなく彼らはエアロ教だ.一応リンクを張っておく.ロードバイクの機種まで判別できない初心者のためにポイントだけ教えておくと,比較的ディープリムは外見で判断しやすい.ディープリムホイールのローディには要注意だ.

また,彼らの口癖から判断することもできる.よく聞く言葉としては「巡航速度が違う」,「○○km/h維持するのが楽になった」などである.高速巡航の時のエアロ性能の素晴らしさを語らせたら3時間程度はしゃべっていられる人がほとんどである.

軽量化教

かれらは一切のものをそぎ落とし,とにかく軽さを追求する.軽いと言うことはそれだけ山を高速で登ることができる.上へ上へと登っていけば,どこかで彼らは神の世界へ行くことができると信じられている.そのため,軽いと言うことはそれだけ神に近づくと言うことなのだ

彼らの見分け方は比較的難しい.なぜならば見た目でロードバイクの重さを判断することは容易ではないからである.あえて言うなら,バイクのシンプルさを見て判断するしかない.軽量化と言うことは基本的にはロードバイクを買ったときの状態のままにして,何も取り付けないという状態が最も軽い.

しかし,この軽量化教をこじらせた人は比較的すぐに見つけることができる.バーテープを外している人がいたら軽量化教だ.それも重度の.フロントギアがシングルのロードバイクも間違いなく軽量化教である.ヒルクライムの大会ではたまに見つけることができる.

さらに極めると,重度の軽量化教の人は専用パーツを使うことがある.こちらの記事をご覧頂きたい.これは最も神にちかづいたに違いない.なんと,2.7kgのロードバイクである.いや,これこそ神そのものと言っても良いのではないだろうか.

また,現在のテクノロジーでは,軽量化するとエアロ性能が悪くなり,エアロ性能を追求するとどうしても重くなる.そのため,エアロ教と軽量化教が相容れることはない.念のために言っておくと部分的には理解し合えるポイントはある.例えばレースに出場するに当たって,普段ハンドルにつけているフロントライトを外すとする.そうするとエアロ性能が上がるとともに軽量化にもなる.このような場合にはエアロ教と軽量化教の意見が一致する.

シートポスト教

彼らの教義は非常にシンプルであり,シートポストをいかにシンプルに祀るかである.
ロードバイクは普通の自転車と異なり,前かごはない.そのため,どうしても持ち運べる荷物の量に制限がある.それを解決してくれるのがサドルバッグである.しかしながらこのサドルバッグはシートポスト教では悪魔と定義される.いかにしてシートポストをキレイに祀るかという教義に対してサドルバッグは邪魔でしかない.

通常のロードバイクはシートポストをフレームに差し込むタイプだが,高級なカーボンフレームではシートポストがフレームから生えているタイプがある.これはシートポスト教が最も好む理想のシートポストである.

シートポスト教を外見で判断するのは非常に難しい.なぜならばエアロ教も軽量化教もそれぞれの目的に照らし合わせてサドルバッグを外している.違いを簡単に説明しておくと,例えばエアロ教だったらエアロサドルバッグなるものがもしあればサドルバッグを使うだろう.軽量化教も軽量サドルバッグだったら使う.しかしシートポスト教は何があってもサドルバッグはつかわない.シートポストそれ自体に宗教的な意味があるのだ

こちらのシートポストを見てほしい.サドルにドリンクホルダーとツールケースが装着されている.こんなロードバイクを見た日には彼らは卒倒するに違いない.

あえてシートポスト教を見分ける方法を述べておくと,集団ライドの休憩時間に,やけにシートポストの写真を取っていたら怪しい.それ以外で判断する方法はなかなかない.

サドル教

サドル教以外の人からはサドル沼と言われたりもする.彼らは自分のお尻に合ったサドルを探し続けるのである.正確にもう一度言うが,お尻に合ったサドルを見つけることが彼らの目的ではない.お尻に合ったサドルを探し続けるのが彼らの教義である.例え話しをすると,勉強家がなぜ勉強家と言われるかというと勉強し続けるからである.一旦勉強を終えてしまったらそれはただのなまくれだ.
自分に合ったサドルを探し続けると極楽浄土にいけると信じられている.

このサドル教もなかなか見分けるのが難しいが,毎回毎回合うたびにサドルが変わっていたらその人はサドル教かも知れない.もっとも,好き好んで他人のサドルを見ている人でないと判別は難しいかも知れないが.

ここまで複数の宗教を説明してきたが,このサドル教は無害な宗教である.こちらがサドル選びに困っているとオススメのサドルを教えてくれる.こちらはそのオススメのサドルを試してみて,体に合ったら装着すれば良い.それでも彼らは永久にサドルを探し続けるだろう.参考に,1つだけ参考にリンクを張っておく.

パワー教

パワー教とはパワーメーターを駆使し自らのFTPをいかに上昇させるかを教義とした宗教である.肉体から絞り出されるパワーを示す指標であるFTPに価値を見いだしている.健全な肉体には健全な精神が宿るとはギリシャ哲学の考え方だが,パワー教の源流はギリシャ哲学にあるのかも知れない.

彼らは自分のFTPは誤差1%程度で把握し,ことあるごとに仲間内でFTP談義をしている.FTPを挙げるためのトレーニングや,FTPを上手く活用したレース運びなどの調査には余念がない.

ちなみにパワー教は他の宗教と共存することができる.パワーを駆使したエアロ教や軽量化教が存在する.ギリシャ神話には多数の神が存在するが,それと同じにパワー教は複数の教義をゆるすほど寛大な宗教なのである.

私も次の9月にパワーメーターを購入しパワー教に入信する予定である.

【ロードバイク】IQsquareまとめページ【パワーメータ】はじめに. 先日IQsquare(IQ2と書く場合もあります)について記事を書きました. もう少しまとめておきたいと思います...

おわりに.

いかがだろうか.細かい宗教を挙げればきりがないが,代表的な宗教を挙げさせてもらった.それだけロードバイクの世界は深いのである.